「夜になると咳がとまらない」 咳喘息(せきぜんそく)について
投稿日:2023年3月4日
カテゴリ:院長ブログ
こんにちは。院長の谷川(総合内科専門医)です。花粉のシーズン到来ですね・・・。
今回は長引く咳、特に夜間・早朝の咳についてのお話です。
「夜になると咳が続いてしまって、眠れない。」
「先週ひいた風邪は治ったのに、夜の咳だけが続いてしまって・・。」
など夜間・早朝の咳の症状で受診される方が多いです。
その原因として多いものに、「咳喘息」があります。
咳喘息は若い人に多く、上気道炎、花粉、運動、雨天、冷気などを引き金にして発症します。時期的には、季節の変わり目や、梅雨時などに多いですね。
咳喘息の起こる機序として、
- ①気道粘膜に好酸球が増加して気道炎症がおこる
- ②迷走神経からアセチルコリン放出→気道平滑筋に結合→気道収縮がおこる
- ③気道にある咳受容体感受性が亢進し、咳がでやすくなる
などが考えられています。
分かりやすく言うと、外因的なきっかけで『気道過敏性や咳反射が亢進』している状態です。
したがって、「上気道炎やかぜが長引いている。」と考えて抗生剤や風邪薬を長期に内服しても、なかなか改善しません・・・。
咳喘息に対する治療は
- ①に対して、好酸球の働きを抑えるためステロイド薬を吸入
- ②に対して、アセチルコリンの働きを抑える抗コリン薬を吸入
- ③に対してはロイコトリエン受容体拮抗薬(シングレア、オノンなど)を内服
などが挙げられます。最近では、①のステロイド、②の抗コリン薬、あと気管支拡張薬の3つの成分が入った、テリルジーという吸入薬を用いて奏功することがあります。
咳喘息は、しっかり診断と治療を行えば、つらい咳の症状から解放されます。しかし適切な対処をされないと、仕事などの日常生活にも支障をきたす病態です。
当院を受診していただければ、他の慢性の咳をきたす病態も鑑別しながら、対応させていだきますのでぜひご相談ください。
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