レビー小体型認知症(多彩な精神症状を呈する認知症)について
投稿日:2023年4月8日
カテゴリ:院長ブログ
こんにちは。院長の谷川(脳神経内科専門医)です。
皆さんは「レビー小体型認知症」という病気を聞いたことがありますか?
幻視(いないはずの人が見える)や錯視(壁の模様が人に見える)、うつ症状(意欲がでない)など、多彩な精神症状をきたす認知症です。
「認知症」と言えば、「アルツハイマー型認知症」を思い浮かべる方も多いかも知れません。実際、認知症全体でアルツハイマー型認知症の占める割合は多いのですが、レビー小体型認知症も20%に上り、決して稀ではありません。
それでは、「レビー小体」とはなんでしょうか?一言でいうと異常なたんぱく質の塊です。
もともとはパーキンソン病の人の脳幹に出現する異常たんぱくとして発見されました(レビー.1912年)。その後、大脳皮質にもレビー小体が広く蓄積して認知症や精神症状を呈することが報告され(小阪ら.1976年)、「レビー小体型認知症」として知られるようになりました。
さらに近年になり、レビー小体の蓄積が神経細胞死を引きおこすことも証明され(勝瀬ら.2003年)、その病的意義も明らかになりつつあります。
レビー小体の脳内での分布についてですが、
レビー小体型認知症では、扁桃体(=感情を司るところ)や後頭葉(=眼で見た視覚情報を処理するところ)に多く蓄積することがわかっています。これを脳血流SPECT検査(脳のサーモグラフィ)でみると、後頭葉の機能障害を反映した所見を認めます。
この障害されている脳部位が、幻視・錯視などの視覚症状を説明しうるものと考えられています。
「うつや幻覚とかの症状があるけど、精神科を受診したらいいのか、内科を受診したらいいのか分からない。」
「認知症の症状があるけど、本当にアルツハイマーとしていいのか、詳しく話を聴いて、適切な治療が受けたい。」
などお考えの方、ぜひ私の外来を受診していただければ思います。
(ゆっくりお話を聴かせていただくため、空いている月曜午後か土曜午後の受診をお勧めします)
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